社内情報共有についての考え方

タイトルのようなエントリを社内に向けて書いたので、手直しして社外に放流するものである。

社内で情報共有フローやガイドライン整備などを進めている。ルールは少ないに越したことはないので「ルール作り」にはしたくなくて、考え方やガイドラインみたいなところに留めて、文化や共通言語を醸成していきたいとも考えている。

これは、今後組織が大きくなる上で、「スピードを落とさないため」に必要だと考えている。新しく入ってきた人が立ち上がりを早くパフォーマンスを発揮してもらえるようにしたい。

オンボーディングの整備は大事で、それもやっていかないといけない。でも今のフェーズではどうしても未整備の部分も多い。そういう荒地を楽しんで走破できる自走力があって、自分で決めて整備もできて、組織と一緒に成長してくれる人を採用していきたい。なので「自走しやすい環境」を整えたい。そのために必要だと考えている点が以下の3点です。

  1. デフォルトオープンであること
  2. アクセシブルで検索可能であること
  3. ストックとフローを使い分ける

デフォルトオープンであること

情報は基本オープンにして、透明性の高い組織でありたい。

オープンにしないと伝言ゲームや情報の偏りが発生して混乱が生まれます。人間が10人いるとコミュニケーションパスは45通り(=10x9÷2)あり、20人になると190です。個別のやり取りが増えると情報の収拾がつかなくなる。

「デフォルトオープンにしたい」という想いは大事ですが、それはスタート地点であって、そのために心がけたり整備したりしないといけないことがある。たとえば以下のようなことです。

  • 情報が流れすぎてきて追いつかない
    • → 情報のフィルタリングスキルを身につける。ツールの使い方を覚える。社内で教え合うなど
    • → 流し方を工夫する・協議する
  • つい古参メンバーで口頭で会話して終わってしまう
    • → kibelaなどのストックツールに話した内容をまとめて書き留めるようにする
  • ついDMやprivateチャンネルを使ってしまう
    • → まずパブリックにできないか考える。パブリックで発言することに心理的抵抗があるのであれば組織的な課題があるとも言える

などなど。情報の非対称は油断すると簡単に発生します。

情報をオープンにする怖さはあるのだろうとは思っていて、それは多分「変なことを書いて変なふうに思われたら困る」「責められたらどうしよう」「自分をさらけ出す怖さ」といったところに起因するのでしょう。特に営業組織とかにいた人にはそういう傾向が強いようにこれまでの経験から感じています。「報告」すると「詰められる」という文化にいるとそうなってしまう。

僕はスタッフ全員をプロフェッショナルとして信頼しているし、信頼したいと思っている。信頼している以上、ある人がパフォーマンスを発揮できていないのであったら「この人は意図的にサボっているのではなく、何か困っているはずだ」と考える。また、ある人が何か失敗をしたのだったら、その人の問題ではなくて、組織の問題だと考えたい。

課題や気付きを早めに共有してもらって一緒に考えたい。自由に発言をすれば、それがちゃんと組織が受け止めてくれるという安心感が感じられ、結果として色々なアイデアが溢れるような組織でありたい。

逆に、そういう信頼関係が築けないようだったら、お互いのためにならないので、一緒に働くのを止めるという選択肢もとることもあるでしょう。そうならないためにも採用は厳選したい。

「みんなが味方で情報は見せておいて損はない」と思ってもらえるようにしたい。何にせよ「非難のない組織」であることが大事。気持ちよく働けたほうが、余計なことを考えずに各自のパフォーマンスも上がると考えます。

アクセシブルで検索可能であること

前提として、色々整備されていない以上、新しい人にはわからない情報はまず聞いてもらいたいというのはある。ただ、そもそも「何がわかってないのかも分からない」というのが最初だと思います。

そんな中で、情報を調べながら雰囲気を掴んで自走してもらうためには、あらゆる情報へのアクセスの方法が明確で、検索可能であることを心がけたい。「そんなもの(情報・ファイル)があるの知りませんでした」というのは減らしたい。一部の人しか知らないGoogle Driveのファイルとか、Slackのprivate channelとか。

情報が公開されていても、公開されていることを知る材料がないのであればそれはオープンになっていないことと同じだとも言えます。

そのために、たとえば、Google Driveの共有フォルダを作って「とりあえずここに置いてください」というアナウンスをしました。そこにおいておけば少なくともDriveの検索に引っかかるようになる。

「一部の人しかアクセスできない情報」を作る場合であっても、そういう情報がその場所でやり取りされているという情報はオープンにしたい。「こういうプライベートチャンネルがあるんだけど、これはこういう理由でクローズにしている」という情報をオープンにする。たとえば、Slackのプライベートチャンネル一覧とその利用用途は公開するなどです。

そうすれば、新しく入社した人が自分がその情報が必要だと思ったら「アクセス権をくれ」と言うことができる。情報が隠されていることすら知らないことと、隠されていることを知っていることの間には大きな差があり、後者の方が良いはずです。

ちなみに、情報の整頓やフォルダ分けもある程度は必要だと思っていますが、個人的にはそれは労力の割には報われないとも思っています。そもそもはディレクトリ型検索が下火になり、Googleの検索が世界を席巻したのは「情報が増える中、それらを整頓するよりも、検索されやすいように情報を作る方が大事」という考え方が正しかったということだと思っています。

ストックとフローを使い分ける

弊社では、ストックのためにkibelaをフローのためにSlackを使っています。ツールは別になんでも構いません。

フローはその場でのやり取りに用いられ、必ずしも全員が全部読む必要もないもの。ストックはまとまった情報を残しておきたい場合に積極的につかうもの。なので、ある程度まとまった情報は、kibelaに書き留めていきたい。そっちのほうが情報資産になって、後々検索しやすいので。

新しく入社した人はSlackの過去ログは読まないだろうし、そこを辿る労力をかけて欲しくもない。そこは、kibelaを検索して適切な情報を得られるようにしたい。

Slackは目の前に入力エリアがあるため、入力のハードルが低く、ついつい長々と複数行書いてしまったり僕もしてしまいますが、これもなるべくkibelaに書くことが望ましい。

Slackの危険なところは、本来チャットは電話などと異なり、非同期コミュニケーションでお互いの時間を自由に使ってやり取りし、それぞれが並列で作業ができるものであるはずだったのに、逆に業務を直列化してしまう可能性があるということ。つい同期的なレスポンスを期待して、相手の返事を待つことに時間を取られたりしがちです。

本来、緊急じゃない依頼とかは、Slackではなくkibelaで非同期に依頼を投げておくとか、別の可視化ツールを利用していくことも必要でしょう。タスクカンバンやアサインボードなど。Slackのワークフローを工夫するなどもあると思います。

こんなことを書いていると「有用な情報だけをkibelaに書かないといけない」と思ってしまうかも知れないけど、むしろ逆で、もっといろいろな話題が、kibelaに飛び交っていてほしいとも思う。前職では同様のツールに日報や個々人の想いなども書き綴られたりしていました。

そのツールはkibelaの前身サービスとも言える、はてなグループってやつなんだけど、サービス終了に際して、 id:secondlife さんが書いた以下のエントリが非常に良く、一部を引用する。

はてな社内では、はてなグループは徹底的に利用されていて、技術仕様、日報、メモ書き、ミーティングアジェンダ〜議事、プレゼンテーション、社内告知、雑談、サービスアイディアのディスカッション等々、毎日のように情報を書き込んで、誰かの書いた情報を見ていた。当時、社内を行き交っていた様々な情報は、咀嚼され自分の中に価値としていくつも蓄積されたし、jkondo がアメリカに居る時に社内グループで屈託の無いディスカッションをたくさんし、当時は毎日胃が痛くなったりもしたけど、良い出来事だった。今は振り返って見ることが出来ないけど、自分が20代半ば〜30歳前までの社会人青春時代の思い出が詰まっている。 http://subtech.g.hatena.ne.jp/secondlife/20190704/1562203081

ということで積極採用中です

まだ10人前後の組織ではありますが、Nature Remoも販売10万台を超え、8月には新たに資金調達もして、より組織や事業拡大のアクセルを踏んでいくフェーズです。そもそものビジョンでもあるエネルギー事業にもいよいよ踏み込んでいく段階でもあり、非常に面白い状況です。

エンジニアに限らず各職種積極募集中なので、ご興味あればぜひご応募ください。

https://nature.global/jp/careers